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Ustream Producer Pro (有料版)を試してみた

前の記事で、無料版のUstream Producerのレビューをしましたが、199ドルの有料版 Ustream Producer Proについて試用レビューを書いてみたいと思います。
なお、無料版と同様の部分については省略していますので、前の記事も合わせて読んでいただけるといいかなと思います。また、Mac版で動作を確認していますので、Win版と一部異なる場合があるかもしれませんので、その点了承ください。

フル機能を無料で試用できる

無料版を起動後、メニューの "Upgrade" から "Try Ustream Producer Pro Features" を選択すると、Pro版のウィンドウが開きます。試用時には、配信映像に透かしと音声でデモである旨注記が入ります。なので、実際の配信に使うのは無理ですが、それ以外の制限は無いので機能をじっくりと試すことができます。

有料版と無料版の機能比較

http://www.ustream.tv/producer/comparison の比較表をざっくりと訳すと、こんな感じ。

無料版 有料版(Pro)
SDビットレートサポート
H264 Flash 9ビデオ
カメラ1台の利用
3つまでの画面切り替え効果
ムービーとオーディオのインポート
PIPとco-hostingのサポート
スクリーンキャプチャ機能
無制限の複数台カメラサポート
無制限の画面切り替え効果
オーバーレイ、レイヤ、タイトル追加
HDVソースのサポート
SD/HDビットレートサポート
HDを含む7つのエンコーディングのプリセット
配信と同じbitstreamのローカルディスク保存 (注)
カスタマイズできるPIP

大雑把にまとめると

  • HD画質の配信のサポート
  • 複数台のカメラの利用
  • オーバーレイ、レイヤ、タイトル追加機能
  • PIP機能、画面切り替え効果の強化

といったところです。

(注) ローカルディスクへの保存機能について存在を確認できませんでした。未実装か、自分の確認漏れか。。

起動後画面

起動後

まず、気づくのは、UIが日本語化されていることです。気合入ってますね。

  • 1.のところにカメラが複数台表示されています。無料版では1つだけという制限がありました
  • 2.のトランジション (画面切替時の効果)が、3つのプリセットから切り替えでき、それぞれのボタンは20個あるトランジションから選ぶことができます。
  • 3.オートライブというボタンは、何らかの操作をしたときに、リアルタイムに配信画面に適用するか、プレビューで確認して、上のGoボタンで反映するかを切り替えるものです。無料版は、常にオートライブの状態です。

オートライブをオフにして使う場合は、右上のプレビューボタンで、プレビュー画面を出します。左側のプレビューで効果を確認して、それでよければ「ゴー」ボタンを押して反映する感じ。

プレビュー画面

レイヤとショットの概念

Proでは、レイヤが利用できます。このレイヤに、映像・音声ソースを配置、切り替えすることで映像を構成します。レイヤに置く映像・音声ソースは、「ショット」という設定をまとめたものを単位に配置していきます。(上の画像の下側で、映像ソースが並んでいるところが、このショットの選択部分です)
レイヤは以下の5層で、それぞれのレイヤで、ショットは1つだけ選択できます。

  • タイトル: 最前面のタイトルなどを配置
  • フォアグランド: カメラ映像にかぶせるもの
  • ノーマル: カメラ映像を置くところ
  • バックグランド: カメラ映像より後ろ。PIPでの余白に表示する背景画像など
  • オーディオ: 音声はここ

なんですが、オーディオレイヤにタイトル置いたり、レイヤ名に関係なく好き勝手ショットを置けてしまいます。ですが、元に戻らないなど予期しない動きをするので、きちんと配置するようにしたほうがよさそうです。

既存のショットを右クリック、もしくは編集メニューから「ショットを追加」を選択すると、ショットの追加設定画面が出ます。

シーン設定

ショットにも、それぞれレイヤ的な概念があります。設定画面の左の部分で有無を切り替え、詳細は右カラムで設定する感じです。

  • タイトル: タイトル文字を入れる
  • フォアグラウンド: カメラ映像に被せる画像かムービー
  • シーン: カメラ。複数カメラのPIPもここで設定
  • バックグランド: PIPのとき、余白がある場合の背景画像など
  • オーディオ

上の画像はフォアグラウンドの設定です。
また、左下にあるチャンネルは、挿し込む映像ソースの選択です。Aは、カメラ1台のとき。A〜Cまで最大3台のPIPが可能です。こんな感じ。

3カメ

タイトルはこんな感じで編集できます。

タイトル設定

背景はこんな感じ。フォアグランドも同様。画像の位置は指定できるものの、画像の縮小ができないので、こうやって背景として敷くくらいしかできません。

バックグラウンド設定

解像度とビットレートの設定

設定画面で選択できるのは以下です。下の2つのHD解像度のものが、有料版のみにあるものです。

設定名 解像度 FPS ビットレート オーディオ
Lowest SD Quality 4:3 320 x 240 20fps 200kbps AAC 32k Mono
Lowest SD Quality 16:9 352 x 198 20fps 200kbps AAC 32k Mono
Basic SD Quality 4:3 320 x 240 20fps 350kbps AAC 32k Mono
Basic SD Quality 16:9 352 x 198 20fps 350kbps AAC 32k Mono
Standard SD Quality 4:3 320 x 240 30fps 350kbps AAC 44.1k Stereo
Standard SD Quality 16:9 352 x 198 30fps 350kbps AAC 44.1k Stereo
High SD Quality 4:3 640 x 480 30fps 500kbps AAC 44.1k Stereo
High SD Quality 16:9 720 x 405 30fps 500kbps AAC 44.1k Stereo
Best SD Quality 4:3 640 x 480 30fps 600kbps AAC 44.1k Stereo
Best SD Quality 16:9 720 x 405 30fps 600kbps AAC 44.1k Stereo
Standard HD Quality 960 x 540 30fps 650kbps AAC 44.1k Stereo
High HD Quality 960 x 540 30fps 800kbps AAC 44.1k Stereo

ちなみに、16:9のときは画面はこんな感じ。
統計情報も表示させています。最高画質でやっているとき。CPUが結構辛いことになってますね。

16:9配信

16:9でカメラの映像を配信する場合、手元のカメラ(PS3 Eye、iMac内蔵iSight)では、4:3のままで、左右に黒帯が入る状態でした。16:9に対応しているカメラであれば、ちゃんとワイドになるのでしょうか。
なお、ショットの設定画面で、該当カメラのチャンネルを左カラムから選択、Effectsから「リスペクト・アスペクト割合」という謎翻訳のチェックを外すと、左右に引き伸ばされ、画面いっぱいに表示されます。

買う価値はあるか?

Pro版のメリットを、それぞれ既存の環境でできていることと比較してみると、

  • HD画質の配信のサポート → ◯Macであれば、このソフトでないと今のところできない (WindowsFME使えばOKのはず)
  • 複数台のカメラの利用 → △MacならCamTwistで2台までならOK。ただ、表現力はこちらのがある
  • オーバーレイ、レイヤ、タイトル追加機能 → ×CamTwistのが細かく設定できる。こちらは融通がきかない
  • PIP機能、画面切り替え効果の強化 → △PIPはCamTwistで2台までOK。画面切り替え効果はそんなに使わない

HD画質以外は、イマイチぐっとこないという感じです。
ただ、現在のバージョンは発展途上のものと思われます。画像のスケール変更のように機能が不足しているものや、使えると書いてあるのに使えないストリームの保存、また、クロマキーやフィルタなど、画面があるが機能が無いものなどが今後追加されていくと思うので、これからに期待ということですかね。

たぶん、自分は買うけど。。