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Ustream.tvの有料サービス「Watershed」を試してみた

今年の2月にUstreamで有償サービスのWatershedというのが開始しました。

普通のUstream.tvだと、無料サービス故に使おうとしたときに止まったりしてたらどうするのといった不安な点や、広告出てうざいとかいろいろありますが、既存の有料のストリーミングサービスを使おうとすると、そもそも個人で利用できる価格ではないし、帯域やスペックを必要とするため自分でホスティングするというのもかなり厳しいという問題があり、Ustreamくらいしか選択肢が無いというのが現状です。
このWatershedでは、配信者・視聴者共に使い慣れていて、またオバマ氏の大統領選挙のプロモーションなど公式配信での実績もあるUstreamが元となっていることに加え、SLAを保証し、小規模な利用でも価格が比較的安価で始められるというメリットがあるかと思います。
とりあえず試してみたのでそのレポートです。

ふつうのUstとの違い、Watershedでできること

Watershedトップページのムービーや説明を読むと概要がなんとなく分かると思います。

SLA
99.9%のSLAを保証しています。
広告無し
当然ながら広告が出ません
カスタマイズ
ブランドロゴの透かしをビデオに挿入したり、プレーヤーや配信コンソールの外観やボタンのカスタマイズ、機能のオンオフの設定などができる。外観についてはFlash/AS3で激しくカスタマイズできるようです。(サンプルはここらへん) 配信側もカスタマイズできるというのが興味深いところで、双方向のソーシャルメディアとしての利用も考慮されているようです。
セキュリティ
複雑なプライバシーオプションを設定できます。特定のURLからの参照に限定したり(ニコ動みたいなリファラ限定機能)、パスワードをかけたり、特定のIPに対する視聴者数制限、トータルでの最大視聴者数を設定したりと、これらを管理者が容易に設定できます
ウェブサービス
まだ詳しく見てないですが、自前のログイン機能と組み合わせての視聴者の認証とかもできるようです
16:9 と HDサポート
と、トップページには書いてあるけど、どうやって使うかの記載無し、設定なども無し。これからサポートなのでしょうか。

現時点では、SLAとセキュリティ周りが通常のUstreamとの違いかと思います。HDサポートが始まると差別化ができそうですが。

料金体系 (2009年5月現在)

サービス開始時には、TechCrunchに「これでもまだまだ高いと私は思う。」と書かれていた料金体系ですが、当初の完全従量制(Pay-As-You-Go)に加え、月額払いの一定時間を含む固定+従量のプラン(Monthly Plan)が追加されています。詳細はこちらを参照してください。

個人的なものや、小規模な配信だとこの3つのプランから選択する感じですね。

  • 1ドル/ viewer hour
  • 同月内 500 viewer hoursまで49ドル、以降 0.4ドル / viewer hour
  • 同月内 2000 viewer hoursまで179ドル、以降 0.3ドル / viewer hour

viewer hourという単位は、1人が1時間見たときに1の単位で、10人が30分(=0.5時間)見たなら 5 viewer hoursとなります。(ライブを録画して公開した場合は、これも視聴時間に加算されると思われるので注意)
1時間1ドルから開始ということで初期費用・固定費用が必要ない分手軽に始められる金額だと思います。数百人など大人数になってそれなりの金額がかかるような場合は、他に選択肢があるとは思いますが個人的には必要としていないので調べてません。。

グラフにすると、こんな感じ

(完全従量の緑の線がノコ型になっているのは、利用量に応じてレートが決まるというFAQを元に書いてるので正しいはず。もっと使った方が価格が下がるという領域が結構多いのが気になるところですが)
さすがにそんなに配信しないので、1000 viewer hoursまでだとこんな感じ

動作確認は、完全従量のやつでよいですし、普通の技術系イベントの配信なら、月額49ドルのプランでよいかなと思います。但し月額料金にアップグレードすると、戻すときにお金がかかるという点が要注意。覚悟して変更しましょう。

  • 注意点
    • モバイル端末での放送機能というのが完全従量のプランでは利用できないようなのですが、どうせ日本の携帯電話では使えないので気にしないでよいと思います。
    • Monthly PlanからPay-As-You-Goへのダウングレードには200ドルのキャンセル料の支払いが必要
    • Pay-As-You-GoからMonthly Plan、Monthly Planから上位のMonthly Planへのアップグレードは月内の日数で配分して即時反映、ダウングレードの場合は翌月反映
    • 一登録で、複数の設定やチャンネルを持つことができるので、シェアすることで負荷分散できるとは思います。支払いを握っている人がとんでもない支払いが来ないように利用状況を確認して適正利用されているか見てないといけないですが。

使ってみる

新規登録から30日間、もしくは合計で 5 viewer hours を超えるまでは "Demo" という透かしが入りますが無料で試用することができます。

ユーザ登録

通常のUstream.tvとは別にアカウントが必要です。右上のSign Upをクリックし、サインアップ画面から新規登録してください。支払い方法の設定画面が途中で出ますが、最初のお試しは無料でできるのでSkipしてOKです。

カスタマイズ

サインアップの後は、ブランドの作成、カスタマイズ、動作確認までの流れを体験できます。ブランドは複数作成できますし、後で変更もできるので、さほど慎重にならず作ってOKです。
外観をカスタマイズするといっても、色とロゴしか設定できないので、劇的に変わるという感じでは無いです。これ以上のカスタマイズはAS書いてくださいということですね。

Watershed customizing player

出来たタグをページに埋め込む

プレーヤーとチャットウィンドウ、そして、配信者画面も任意の場所に埋め込めます。また、ここでPreviewをクリックすることで動作確認もできます。
自社サイトなりどこかに埋め込むのが通常の利用方法となるという点が通常のUstream.tvと違う点ですね。

Watershed埋め込みHTML

こんな感じ

PHPカラーとロゴを差し込んでみました。試用中なので "Demo" と出てるのはお金払ってれば出ません。広告出てないのはいいとして、普通のUstreamよりプレーヤーが格好良くないのはどうしたものか。

Watershed カスタムスキンプレーヤーデモ
Watershed Broadcaster

まとめ

使ってみての感想は、Ustreamとさほど違いが無いということにつきます。本質的な機能はUstreamそのままなので、当然といえば当然ですね。
AS3でのカスタマイズや、認証ウェブサービスなどを利用しないと違いは出てこないかもですが、ちゃんとした?動画配信が必要となったときにはよい選択肢なのではないでしょうか。

今年中に一度くらいこれ使って配信してみたいですね。その分の予算があればとなりそうですが。。